猫じゃらしを大量に持つ
散歩をしていると色々な草を見かける。
私はあまり草には興味がなく、普通に歩いて通ろうとしたときのこと。
突然、
「にゃんこだ!!!」と長男が言った。
何のことかさっぱり分からなかった。
ちなみに、長男は今まで猫のことを『にゃんこ』と言ったことは一度もない。
「にゃんこ〜♪にゃんこ〜♪ななさかにゃんこ〜♪」
と、何やら歌いながら指をさしたのは猫じゃらしだった。
なんとなく聞き覚えのあるリズムの歌を聞いて、思い浮かんだものがあった。
それは、テレビで流れていた『花さかニャンコ』という歌だ。
そして、その歌に出てくるネコが手に持っていたのが猫じゃらしだった。
私は思わず「なるほどね!」と言いながら少し笑ってしまった。
長男の記憶力が発達してきていることを感じて嬉しかった。
「とってもいいの?」と、長男が私に猫じゃらしを取っていいのか聞いた。
私が「取っていいよ!」
と答えると、
長男は1つだけでなく近くにあった猫じゃらしをたくさん取り始めた。
長男はニコニコしながらいっぱい猫じゃらしを取っていた。
それから、一本だけ次男にも渡してくれた。
予定では往復20分ほどの距離の散歩のはずが、かかった時間は1時間半だった。
家に近づくにつれて、長男が手に持つ猫じゃらしの量が増えていった。
ただ、問題が一つあった。
手に持った猫じゃらしを家の中に持って行きたがらないか、ということだ。
家の中に猫じゃらしと一緒に小さな虫も持ち込まれるのは、かなり抵抗がある。
家に着く寸前のギリギリに言うと、家に持って帰ると言い張って苦戦するだろうと思った。
そこで、早めに「そろそろ猫じゃらしをポイしよっか!」と言った。
しかし、「まだ!まだ!」と長男は猫じゃらしを持っていたがる。
だんだん家に近づいてきた。
正直なところ、しつこく言わないとダメだろうと覚悟していた。
それでも取り敢えず、「家の中には持って行けないから、家の前のお庭にポイしよう!」と言ってみた。
すると、意外なことに
「ポイ!ポイ!」と言いながら楽しそうに長男が猫じゃらしを庭の方に投げていた。
次男も長男の真似をして庭の方に猫じゃらしを投げた。
私は内心驚きつつも、「これで、おうちに入れるね!」と言った。
散歩には時間がかかったものの、すんなり家に帰ることができて良かった。
家に入って手を洗い終えると、長男がすぐに畳の上で寝転がってゴロゴロし始めた。
長男は、猫じゃらしを取るのに何度もしゃがんだりして少し疲れたようだった。
いつもは、「いや!」と言ってなかなか私が言ったことを聞いてくれないことも多く、まさか一回で話を聞いてくれるとは思ってもみなかった。
長男のペースに合わせる散歩はあちこちで立ち止まって少し疲れるので、今回はすぐに帰れてホッとした。
とはいえ、いつも思い通りに行動をしてくれるわけがないので、今後も期待し過ぎないようには気をつけたい。
猫じゃらしを持って長男も次男も楽しそうだったので、たまには道草を食うのも良いなぁと思えた。
体力がある時には焦らず、長男の寄り道に付き合いたい。