粉チーズを外に投げる
お昼ご飯を食べ終えた午後、
珍しく長男は静かに本を読んでいた。
スヤスヤと眠る次男を見て私も眠くなりウトウトしてしまった。
遠くから長男がバタバタ走り回っている音が聞こえた気がしたが、そのまま寝てしまった。
しかし、次男の泣き声が聞こえてきてハッと起きた。
泣いた次男を抱っこして落ち着かせてから、長男を呼ぶとバタバタと走って私のところまで来た。
妙にニコニコしていてなんだか怪しい。
「何してたのー?」と、聞くと
「ポイポイしちゃった!」と言われた。
「何をどこにポイポイしたの!?」と聞くと、
「ちーじゅ!ポイポイしちゃった!」
と、言われた。
まさか、チーズを投げることは無いと不思議に思いつつも
「チーズ?を投げたの?」と、聞き返した。
「ほら!!!」と、自信満々な様子でベランダを指差す。
自信たっぷりの様子だったので私が不安になったくらいだ。
そして、その不安に思ったことは見事に的中する。
ベランダを見ると、
粉チーズらしき白い粒が散らばっていた。
長男は足でワザと粉チーズを踏んで遊び始めた。
「足で踏まない!」と、言うとやめたが足の裏は粉チーズだらけになっていた。
問題は粉チーズの入っていた容器の行方だ。
ポイポイした、と言っていたのでふと前庭を見ると
粉チーズの容器があった。
しかもまだ中身が半分以上は入っていた。
「なんで外に物を投げるの!?それに食べ物でしょ!」と、怒ろうとしたその時。
粉チーズの容器の中にアリが入っているのが見えた。
「うわっ!やだーーーー」
と、驚いて思わず叫んだ。
ビックリし過ぎて、怒りたい気持ちは吹き飛んだ。
私がアリに驚いていた様子がおもしろかったのか、
「きゃははは」と、次男が笑っていた。
なんて事をしてくれたのだろう、と思っていたが、可愛い笑い声はそんな気持ちを薄れさせてくれる。
「笑い事じゃないよー」と言いつつも、私の心の中は穏やかになった。
家の中も粉チーズだらけで、
ぬいぐるみにも振りかけられていた。
家中の粉チーズをどうにかしなくてはいけない。
私が掃除機を出すと、「きれいきれいしようか!」と長男が張り切っていた。
長男に掃除機を任せると次男がおもしろがって邪魔をするに違いない。
私がサッサと掃除機をかけることにした。
畳にたくさん散らばった粉チーズは、掃除機をかけて綺麗になり、一件落着となった。
容器に入っている粉チーズは、外に投げられた挙句アリも入ってしまっていたので食べる訳にもいかず、捨てることにした。
一番の原因は、お昼にナポリタンを食べた時に使った粉チーズを手の届く場所に置いたままにしてしまったことだ。
もちろん、寝てしまって長男の様子を見れなかったことも良くなかったが、急にやって来た睡魔に勝つのは難しい。
外に投げられた粉チーズの容器の中にアリが入っていたのを見て、かなり衝撃を受けた。
しばらくは粉チーズを買う気持ちにはなれないが、また買った時には手の届かない場所に戻すように気をつけたい。