こたつのコードで叩く
押してもだめなら引いてみなということわざがあるが、
今回身をもって知る出来事が起こった。
私は押してダメだった時であっても、がむしゃらに押そうとする。
引くという事ができないのだ。
引き出しの調子が悪い時に押したり引いたり微妙な調整はできる。
ただ、考え方が偏ってしまっているのである。
さて、
本題に入るが、我が家にはこたつがある。
こたつとしてではなく、机として使っている。
そのこたつのテーブルを動かすと、蓋がある。
その蓋を開けると、こたつのコードが入っているのだが、
つい最近まで私はその存在を知らなかった。
実は、こたつは親戚から貰ったものである。
そのため、長男が見つけ出した時に初めて知ったのだ。
長男は力があり、少し重い物でも持てる。
こたつのテーブルも少し重さがある。
力を入れて動かすことが出来て楽しいようだ。
蓋を開けて、頻繁にこたつのコードを出す。
そして空いたスペースに色鉛筆を入れる。
家の中を散らかすだけ散らかして、片付けをしてくれない。
「早くお片付けして!コードは出さないで!!!」
と言うが、「イヤ!イヤ!」と言って全く言う事を聞かない。
それどころか、こたつのコードをバンッバンッと壁やテーブルにぶつけ始める。
まるで工事現場の近くにいるかのような騒音だ。
「うるさい!近所の迷惑になるからやめて!」
と言うものの、長男はニヤニヤするだけで全く効果なし。
辞めるどころか、ますます強く叩き始める。
私は途方に暮れていた。
一発ガツンと怒ってしまえば、辞めるのだが一時的なものでしかない。
またすぐに同じ事を繰り返すのだ。
どうしたら辞めさせられるのか分からない。
そんな時に友人から、「怒られたくてやっている」という話を聞く。
試しに「もっとやっていいよ」と、言ってみた。
言った途端に静かになった。
反対の言葉を言ったのだから、さらにエスカレートするはず…と、身構えた。
しかし、いつまでたっても音はしない。
様子を見ていると、自分から片付け始めた。
言う事を聞いてくれず、諦めかけていたのが嘘みたいだ。
その後、
テーブルを動かす事は時々あるが、不思議な事にコードでバンバン叩くことはなくなった。
どんちゃん騒ぎのようにしていて困っていたのが、全くなくなって大助かりである。
怒り始めると、つい熱が入ってしまうのだが一度冷静になって考えようと思った。
今回の場合は、
「 やめて!」と、何度も言うのが逆効果だったようだ。
私の興味を引きたくてワザとやっているかどうかも見極めなければいけないと思った。
誰かに言われるまで、違う方法を試してみる事すら考え付かなかった。
その事を教えてくれた友人には感謝である。
時と場合にもよるが、思い切って逆のことを言ってみることも大切なのだと知った。
今後、言う事を聞いてもらえない場合は、違う方法を考えてやってもらえるように促してみようと思った。