急にお店から飛び出す…
ある雨の日のことだ。
私が洗い物をしながら、
「洗い物を終えたら、あとはお買い物だけかな…」とつぶやいた。
すると、長男は玄関の方へ走って行って、
「もの!もの!(訳 : お買い物!お買い物!)」
と言っている。
「でも、雨だからどうしようかな…」と私は迷いながら言った。
長男は、「あめ!あめ!」と言いながら、
長靴を履いて傘を持って準備万端だ。
こういう時だけ行動が早い・・・
買い物へ行く気満々である。
だが、私は心の中で葛藤していた。
外に行きたい気持ちはあるが、長男と次男を連れての外出は憂鬱だ。
なぜなら、長男は手を繋がず勝手に走り出してしまうのだ。
私がどんなに長男を追いかけてつかまえても、全ての歩行者の迷惑にならないようにするのは難しい。
それだけではない。
自転車や自動車が来ようがお構いなく手を振り切ろうとするのだ。
強引にベビーカーに乗せて行こうかと思ったが、
雨が降っているのでベビーカーは使えない。
長男も傘をさして行きたがっている。
仕方なく、人通りが少ない昼の時間に連れて行く事にした。
私は、「お買い物に行くけど、お母さんの言う事を聞いてね。」と言う。
長男は、「うん!」と元気よく返事をした。
私は次男を抱っこして、長男は自分の傘をさして出発だ。
お店までの道のりを、傘をさしながらちょこちょこと走る長男。
「ゆっくり端っこを歩いて!!!」と言うと、私の後ろにピッタリついて道の端を歩いてくれた。
念のため、長男の傘の先を掴んで突発的な動きを封じ込めていた。
案の定、雨の日の昼間は自転車や歩行者がほとんど居なかった。
長男はよっぽど雨の日の外出が嬉しいのかニコニコしている。
水たまりを見つけてはバシャバシャと踏みに行って喜んでいる。
無事に八百屋さんに到着。
ひとまずホッとする。
すぐ近くの自販機に興味を持ち、ずっと眺めていた。
チラチラと長男を見ながら、急いで野菜をレジに持って行く。
支払いが終わって「手をつなぐよ〜」と声を掛けると、
タタタッと走って長男は逃げた。
時々私のほうを見て長男はニヤニヤしている。
私も傘をささずに追いかける。
ちょうどその時、雨は激しく降ってきた。
絶妙なタイミング。。。びしょ濡れだ。
私は、「まだだよ!次はスーパーに行くよ!」と言うと、ようやく戻ってきた。
近くのスーパーへ行き、買い物をする。
長男はきちんと後をついてきた。
一時はどうなるかと思ったが取り敢えず安心だ。
……と思ったのもつかの間。
レジで会計をしている最中。
またもや長男が、走り出して店を飛び出したのだ。
自転車が長男の方に向かってくるのが見える。
うわあ、最悪だ…と思いながら無我夢中で長男の方へ私も走った。
運良く避けてくれたが、本当に危なかった。
自転車に乗っていた人に何度も謝り、長男を叱った。
「勝手に行ったら危ないでしょ!お母さんと一緒に行くの!!!分かった?」
と言ったが、長男はニタニタしているだけだ。
また、走り出したため、思わずパシッと頭を叩いた。
長男は「えぇーーん」と泣き出す。
「危ないから勝手に行ったらダメ。手を繋いで。」と私が言うと、涙を流しながらも素直に手を繋いでくれた。
そのままレジに戻る。
レジの人は「あらあら、びしょ濡れで寒そう…。ママの言う事を聞かなきゃダメだよ」と長男に声を掛けてくれた。
長男はこくんと頷いていた。
レジの人に「お待たせしてすみません。」と謝った。
ニコニコしながら「ママは大変ね~。」と返してくれた。
いつも混んでいるのだが、雨が降っていたためお客さんはほとんど居なかった。
お礼を言ってからお店を出る。
お店を出た瞬間、また走り出す長男。
「コラ!!!さっき勝手に行ったらダメって怒ったばかりでしょ!」と、叫ぶものの長男は走って行く。
私も走ろうとするが、次男を抱っこして二つの買い物袋と長男と自分の傘を持っていて速くは走れない。
「待って!!!」と叫ぶが、長男は待つ事なく走る。
とにかく足が速い。
軽くつまずく事を願いながら後を追う。
こういう時に限って、全く転ばない!
時々振り返りながら、笑っている長男の顔が私のイライラを増幅させる。
苛立ちながらも、追いつく事が出来なくて悔しかった。
いつもならあちこち寄り道をする長男だが、珍しく寄り道をしなかった。
家の方向に進んでくれたのは感謝すべきところである。
なんとか家に帰れた。
もう、私はクタクタだ。
私は「約束を守れないのなら次からお買い物には連れて行かないからね!」
と言った。
「もの!もの!(訳 : お買い物!お買い物!)」と言いながら長男は泣き叫ぶ。
風邪を引いては困るので、長男をすぐに風呂場へ連れて行く。
温かいシャワーで体を温めてタオルで拭いた。
これで、ようやくひと安心である。
そして、心に決めた。
もう二度と雨の日には買い物に行かない!
今回は何事も無かったがこの様子だと、命がいくつあったとしても足りないくらいである。
今後しばらくの間は、晴れている日に長男をベビーカーに乗せて行くようにしたい。
また、長男の体力が有り余ってるようなので、買い物のついでに近くの公園に連れて行くようにするつもりだ。
寒くて外出は控えていたが、元気な時は可能な限り自由に走り回れる場所で遊ばせたいと思う。