米のとぎ汁をこぼす
2歳8ヶ月になった長男は最近、私がやっていることに興味を持ってやりたがる。
今まで、唐揚げを作るときの肉に片栗粉をまぶしたり、卵焼きを作るときに泡立て器で卵を混ぜるなど簡単な作業を手伝ってもらうこともあった。
ある日の夕方、私がいつものように米を研ごうとした時のこと。
「おこめ、じゃーじゃーやりたいなー…。(訳 : お米を水でジャージャー洗いたいなー)」
と、長男が言って私をじーっと見ていた。
米研ぎをしたいと言われたのは初めてだったが、簡単なので手を洗ってから手伝ってもらう事にした。
台所で作業をするには、長男の背丈では届かないので子供用のイスを踏み台にしている。長男に米研ぎをしてもらうために、炊飯器の内釜に入れた米と水を用意した。
「優しく手でかき混ぜてね」と、私が言った。
「はい!」と長男は返事をして、ぐるぐると手でかき混ぜた。
少し時間が経ってから、
「そろそろお母さんと代わろうか!」と声を掛けると、「まだ!まだやってるのー!」と長男は言って代わってくれない。
「取り敢えず、一度水を入れ替えようね」と言ってからササッと水を入れ替えた。
そして、2回目も同じようにかき混ぜていた長男に
「ジャージャーしていいの?(訳 : 米のとぎ汁をジャージャー流していいの?)」と聞かれた。
「お母さんがやるから流さないで!」と私が言ったが、
『ジャーッ』と長男は水を床にこぼしてしまった。
私がシンクの中に米の研ぎ汁を流していたのを真似しようとして、失敗したようだ。
長男はビックリした様子で固まっていたので、
「取り敢えず、ぞうきん持ってきて!こぼした水を拭くよー!」
と、私は声を掛けた。
長男は、「はい!」とぞうきんを取りに行って拭き始めた。
一生懸命、床を拭いてくれた。
…が、同じ所ばかり拭いていてあまり拭けてなかったので私が仕上げに拭いた。
米が水を吸い過ぎると困るので、急いで水を入れて炊く準備をし終えた。
次の日も、長男が米研ぎをやりたがるだろうと思っていたが、溢してしまった事がショックだったのかやりたがらなかった。
その1週間後。
私が米を研ごうとした時に長男が、
「おこめ、じゃーじゃーやりたい!」と言い出した。
今回は長男がある程度お米を研いだら水をこぼされる前に私が代わろうと思った。
「お母さんが終わりって言ったら終わりだからね」と言ってから、長男にやってもらった。
長男が嬉しそうにお米を研ごうとした瞬間、
『ガシャン!ザーーーッ!!』と音がした。
お米と水が床に散らばった。
次男が力づくで長男が踏み台にしていた椅子を引っ張ったのだ。
長男は米を研ごうとした瞬間に椅子から落ちてしまい、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「大丈夫だよ!今のはお母さんが見ていなかったせいだから、気にしなくて大丈夫!」と、私は内心では予想外の出来事に驚きつつ言った。
ぞうきんで米をまとめながら水を拭いて、拾いきれなかった米粒は掃除機で吸い取ることにした。
掃除機を取りに行って戻ると、長男と次男が米粒を拾い集めていた。
「お掃除のお手伝いをしてくれてるの!?ありがとう!」と、嬉しくなって言うと、
『ガリッ!ガリッ!』と音を立てて米粒を長男と次男が口に入れて食べ始めた。
まさか米粒をそのまま食べるとは思わなかったので驚いた。
「落ちてるお米は食べないで!」と言って2人が持っている米粒を回収して「掃除をするから離れてて!」と言った。
だが、何度言ってもニヤニヤして全く離れようとしないので、急いで掃除機で米粒を吸い込んで掃除をした。
結局、二分の一合ほどの米を捨てる事になり、米を新たに足してからいつものようにお米を炊いて一件落着となった。
今回は、バランスを崩した長男が椅子から落ちた時に運良く足で着地できたので怪我をしないで済んだ。
頭や体をぶつけたりすることなく、長男と次男が怪我をしなかったことは本当に良かった。
その後、長男は米を研ぎたいと言わなくなった。
長男のことなので、少し時間が経った頃にまた米研ぎをしたがるだろう。
その時には、長男だけでなく次男の様子も確認しつつ、危なくないように気をつけたい。
また、イスを踏み台として使っている時には長男が危なくないように、近くでしっかり見守るようにしたい。
これからも、長男と次男はそれぞれ興味を持って行動することが増えるが、出来る範囲では経験させていきたいと思う。