血まみれになった顔
お昼ごはんの用意をしていた時のこと。
『ガタガタッドンッ』と、大きな音がした。
続いて、
「うわぁあああん。えーん。えーん。」と泣き声が聞こえた。
振り返ると長男が転んでいた。
うつむいて泣いていた。
近くには、バイクのおもちゃが転がっていた。
バイクに乗っている時に転んだようだった。
長男が転ぶのはよくある事だ。
いつも通り泣き止んで落ち着くのを待っていた。
ふと見ると、片付けたはずの布団がなぜか近くに置いてあった。
長男が隣の部屋から運んできたようだ。
そして、バイクに乗っている時に布団につまずいて転んだのだろう。
ちなみに、バイクのおもちゃはタイヤが4つあってハンドルがついている。
正式名称は『コンパクトバギー』らしいが、私と長男は勝手に『バイク』と呼んでいる。
長男は気に入っているようで、しょっちゅうバイクに乗っている。
ふと、長男が泣き止んで顔を上げてこちらを見た。
長男の顔が血まみれになっていた。
その顔を見た瞬間、私はギョッとして「えっ!?」と声が出た。
よく見ると鼻血が出血の原因のようだ。
転んで鼻をぶつけた衝撃で鼻血が出てしまったのだろう。
それ以外は外傷もなく変わった様子は無い。
私の驚いた顔に長男はビックリしてまた泣きそうだった。
血を見て内心動揺しながらも、
「どうしたのー?」と何事も無かったかのように声をかけた。
すると、長男は血がついた左手を私に見せて「あか!あか!」と言った。
私が「本当だ!赤くなってるね!」と返すと、
「あか!いたい!いたい!」と長男は言う。
痛いのは顔のはずだが、血がついた左手をケガしたと思い込んでいるようだ。
鼻血は止まっていたので、長男の手を洗ってから顔についた血を拭き取った。
長男に「どこか痛い?」と聞くと、「なーい!」と言っていた。
どこか痛がる様子もなく、落ち着いていたので安心できた。
次男も、長男の血まみれの顔に驚いたようでずっと泣いていた。
長男の顔の血を全てふき取ると、次男は泣き止んでバイクのおもちゃに興味を持っていた。
次男と長男はバイクのタイヤを一緒に回して楽しそうに遊んでいた。
その後、長男は何事もなかったかのように「ごはん!いま!べる!(訳:ご飯今食べる)」と言ってお昼ごはんを食べた。
長男は珍しく離乳食を食べたがっていたので、おかゆを用意すると食べていた。
少しは大人しくなるだろうと思っていたが、いつもと変わらない様子で元気よく遊んでいた。
念のためその日のお風呂は控え、注意して様子を見ていたが特に気になる事もなく大丈夫だった。
転んだ当日はバイクに乗らなかったが、次の日にはいつも通りバイクで遊んでいた。
いつもは物凄いスピードでバイクを乗り回すのだが、懲りたのかスピードを落としていた。
これまで何度も、
「危ないから広いところでバイクに乗ってね!」
「転ぶから座布団や布団の上でバイクに乗らないで!」と長男に注意をしていた。
が、あまり言う事を聞かずに繰り返していた。
今回転んだことで危ないことが理解できたようだ。
それからは狭い場所でバイクに乗ることがなくなった。
今まで、3段ほどある階段から落ちたり、転んで顔をぶつけたこともあったが、鼻血を出した事は一度もなかった。
そのため、血を見て一瞬だけ驚いてしまったが、特に外傷はなく大事にはならなかった。
これから、思いがけない場面に出くわしてもまずは子供を落ち着かせられるように、焦らず冷静に判断したいと思う。